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安全性に関する世論の批判

ガルシアは有名な構造建築工学のエンジニアで、市の大手新聞社に、ある州の橋建築プロジェクトを視察するために、わずかな金額で雇われていた。このプロジェクトは、よく知られた現地の事故が主な原因となって、建築の遅れ、コストの増加、訴訟などによって悩まされていた。
ガルシアは橋を訪れ、一日の視察を行った。非常に一般的な観点から、彼女は報告書で潜在的な問題点を確認し、幾つかの追加テストと、別の解決案を提示した。ガルシアの報告書に基づいた一連の目玉記事で、その新聞は完成日時を危うくするような大きな安全上の問題がその橋にあると主張した。そして、このプロジェクトのエンジニアや請負業者、州のハイウェイ部局に対して、その不始末や不適切性を指摘する主張がなされた。それに対して州は調査を行ったが、そのなかでガルシアは、自分の報告書は橋の安全性に関する潜在的な問題を確認しただけで、それが決定的なものであると言うことを意図したわけではなかったと述べた。
ガルシアが上述のような仕方で新聞社のための調査をしたのは倫理的であるといえるだろうか。この経験に照らしてみると、ガルシアのような仕事を受け入れる条件として、エンジニアはどんな条項を考えるべきだろうか。

−NSPE事例88-7番からの改作

(訳 須長一幸 日本学術振興会特別研究員PD(北海道大学))