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外国の官僚への贈与

グラディはあるエンジニアリング会社の社長である。その会社は、その会社がこれまで働いたことのないある外国とある契約に関する交渉を行っていた。その国の高級官僚がグラディに、契約を結ぶ権限のある当局者に個人的な贈り物をすることは、認可されているし法的な慣習でもあると述べた。またこの官僚はグラディに、この条件は契約には含まれないだろうけれども、そうした贈与なしでは今後グラディの会社に仕事が回されることはないだろうということも知らせた。もしグラディが応じなければ、政府もまた最初の契約を完成させるのにより協力的でなくなるだろう。グラディは、他の会社も官僚にそうした贈与を行っていることを知った。
グラディはこの情報をどう扱ったらいいのだろうか。どのような状況下でなら、ある国の「慣習」は拒絶されうる、ないし会社自身の通常の振る舞いに取り入れうるのだろうか。どの時点で贈与物はわいろになるのだろうか。贈与物はオープンに送られるべきか、あるいは「こっそりと」渡されるべきなのだろうか、そしてそれは行為にどのような影響を与えるのだろうか。

(訳 須長一幸 日本学術振興会特別研究員PD(北海道大学))