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マーケティング契約書に基づく手数料報酬の支払い

 あなたとミッチェルはエンジニアリング会社の共同オーナーである。エンジニアのミッチェルは、様々な領域で国際マーケットにおけるエンジニアリング活動に従事していた。ミッチェルはあなたに、エンジニアリング会社のサービスをマーケットコンサルティング業務にまで拡張しようという目論見を打診してきた。彼の説明によれば、彼はエンジニアリングの専門家の関心により役立つために、他の国々ではエンジニアリングの仕事に関してどのようなことが要求されるのか、という点について彼が習得してきた知識を活用することができる、というのである。彼によれば、海外へと活動範囲を広げたいのだが必要な特殊な背景知識を欠いている企業や、海外の活動領域への参入を成功させるために必要となってくる技術を発展させるリソースを欠いている会社のために、彼が培ってきた国際的な活動領域における経験や人脈を活用して、それらの会社の代理人を務めることができるというのである。ミッチェルの説明によれば、アメリカのエンジニアリング会社は国際マーケットのなかで、十分に資本を増強してその潜在能力を発揮するまでに至っていないのであり、そこにわれわれの会社の強みがある。
 ミッチェルは、マーケッティング契約書の下書きを作った。それは、記載された地域内で人脈を開拓し、潜在的なプロジェクトを評価し、プロジェクトの進展を調整し、新規のクライアントとわれわれが代理する会社の間の契約条件を詰めるというものである。これらのサービスによって、われわれの会社には基本手数料にプラスして顧問料が支払われることになる。両方の料金は個々の会社ごとに、個々のケースに応じて取り決められることになる。さらにミッチェルによれば、われわれの会社はマーケティング手数料と呼ばれる料金の支払いを受けることになる。それは、われわれがマーケティングの手助けをしたプロジェクトにおいて、われわれが代理している会社が実際に獲得した金額に対して協議して決めた一定の比率によって支払われるものである。
 あなたはミッチェルの提案に対してどのように対応するか?ミッチェルがエンジニアであるという事実は、ここでは何らかの相違を生み出すものとなるか?
―NSPE事例78-7番からの改作

(訳 西村慶人 北海道大学文学研究科後期博士課程)