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模倣者?

(州に)登録されたプロフェッショナル・エンジニアのクーパーは、汚水処理の方法と設備の改良のための設計と開発に関する仕事をし、それらはその後特許を受けた。汚水処理施設の設計が専門の環境コンサルタントであるベローズと、彼のクライアントは、汚水処理の新しい方法と設備に関心を持った。しかしながら、ベローズはひとつだけを仕様書に記入すること(つまり、このケースでは、クーパーの方法をわれわれが使用する、と仕様書に記入しまうこと)が気に入らなかった。実際、ベローズは “or equal”という表現を使ったオープンな仕様書を準備したり、性能要件を仕様書に記入したりして、競争を促すのが常だった。そして、競争者が複数現れた場合、ベローズの努力が第一に向けられるべきなのは、競争を促進させることでコストを最小化することであった。
ベローズは以下の二つのうちのどちらかひとつができるだろうと考えていた。ひとつは、競争をオープンにするために、性能仕様書を、クーパーが特許を持っている方法と設備が持つ性能から模倣することである。もうひとつは、いくつかの製造会社に連絡を取り、クーパーの汚水処理の方法と設備と同様の性能を発揮するような方法と設備を作るよう促すことである。この場合、ベローズはクーパーの方法から模倣した性能仕様書案を製造会社に提供することになるだろう。ベローズは彼らの製品を将来の保証書において“or equal”の中に含ませると口頭で約束することによって、彼らを勧誘するだろう。
ベローズがクーパーの特許に違反することなしに、オープンな競争のために性能仕様書を準備することはいかにして可能だろうか。ベローズが考えているアプローチのいずれかは適切だろうか。

−NSPE事例93-1番からの改作

(訳 須長一幸 日本学術振興会特別研究員PD(北海道大学))