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同じ契約で競合している二つの会社との合意

アリーナはあるエンジニアリング会社の共同経営者の一人であり、彼の会社の利益になるよう、あるプロジェクトのための資質証明書を政府当局へ提出した。しかし彼の会社は、その他の幾つかの会社と並んで「選抜候補者リスト(short list)」にあげられているものの、その仕事に要求されるある特殊な領域での技能を持っているようには思われない、といった旨がアリーナに通達された。アリーナはまた、そうした能力を持った別の会社と共同請負するのが望ましい、とも通告された。そこでアリーナは、その専門領域の技能をもった会社の共同経営者の一人であるブラントに連絡をとり、アリーナがその仕事を落札した際に、ブラントの会社と共同請負することを持ちかけた。そしてブラントは、それに同意した。
そのすぐ後で、これもまた選抜候補者リストにあげられていた会社の社長であるシューがブラントに連絡を取り、シューの会社が選抜された際に特殊領域のサービスを提供するために共同請負に従事する意志があるかをブラントに尋ねた。
共同請負に関するこの二番目の要求に対し、ブラントはどう応えるべきだろうか。
もしブラントが同意するなら、彼は別の会社とも同意があることについてアリーナかシューに通達すべきだろうか。
このシナリオに関する諸考察は以下のようなものである。エンジニアのブラントが、全ての会社に対して情報開示を行うことなく、一つ以上のいくつかの会社と潜在的なパートナーと、共同請負の手はずに参加することを同意するのは、利害の相反だろうか。もしブラントがそうした場合、彼は欺瞞的であることになるのだろうか。

−NEPE事例80-4番からの改作

(訳 須長一幸 日本学術振興会特別研究員PD(北海道大学))