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専門家の基準の維持:推薦状を書く

ニーマイヤーは、中規模の製造会社に勤務するエンジニアで、彼に対する昇進が検討されていた。ニーマイヤーの雇用者は、かつてニーマイヤーと一緒に仕事をしたことのあるエンジニアたちと連絡を取り、彼らのコメントを求めた。
さて、同僚に能力の評価をもとめる場合、雇用者は誰に接触をとるべきかをどうやって決めるべきだろうか。評価される人は、「ピア・レビュー(仲間による評価)」の選考に付されるべきだろうか。ピア・レビューは被雇用者たちにも共有されるべきだろうか。これはオープンであるべきか、それとも匿名であるべきだろうか。
ニーマイヤーに関する件で接触が持たれたうちのひとりであるシングは、いまでは別の会社で雇われているので、専門家同士としてのニーマイヤーとの直接的な関係はもはやなかった。シングは、ニーマイヤーが州のプロフェッショナル・エンジニア協会から除名されたことに気づいていた。シングは、全てのエンジニアは専門家協会に、できれば積極的に関わり、あるいは少なくとも会費を支払うことで、自らの専門技術を立証すべきであると信じていた。このゆえに、シングはニーマイヤーの能力についてコメントすることを拒んだ。
同僚の能力評価に関するシングの義務とは何だろうか。専門的職業にあるものは、専門家協会に参加する義務があるのだろうか。そうであるとしたら、あるいはどうではないとしたら、それはなぜか。
雇用者はシングのコメントをニーマイヤーに伝えた。ニーマイヤーは雇用者にどう応答すべきだろうか。またシングにはどう応答すべきだろうか。ニーマイヤーはこの件に関して専門家協会に連絡を取るべきだろうか。

−NSPE事例77-7番からの改作

(訳 須長一幸 日本学術振興会特別研究員PD(北海道大学))