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専門家協会への参加に関する問題の惹起

サラはある会社に20年以上も勤務している。雇われるにあたって、サラは上司にある専門家協会に加わるよう勧められた。サラはその協会ではとても活動的で、いくつかの理事会や委員会のポストに就いたこともあった。彼女はそうしたポストに就くまえに、会社の是認を得てさえいたのだった。
サラの直接の上司であるペリーは、サラは自分のプライベートな時間を使ってこの協会に参加すべきであると考えていた。しかもそれは、会社はそうした目的のために有給休暇をとることを積極的に認めているにもかかわらず、であった。ペリーは専門家協会に参加することは被雇用者の訓練にはならず、雇用者の利益にはならないと考えていた。サラはペリーに、会合に参加するための休暇を文書で要求した。ペリーはサラの要求をさらに上部へと申し送ることを拒否した。
この時点で、サラはどうすべきだっただろうか。
サラは別の問題で最高経営責任者(CEO)に呼び出され、面談をすることになった。サラはこの機会に、彼女の状況について言及すべきだろうか。それは警笛鳴らしなのだろうか。もしサラが何か言うべきだとしたら、彼女はどうやってその話題に触わるべきだろうか。
サラは会社のエンジニアが専門家協会に参加することに対するCEOの意見を求めた。CEOはそうした参加を勧めるという自分の意見をふたたび是認した。サラは上司(ペリー)にある旅行の申し立てをした。それはCEOに伝えられるはずのものであったが、ペリーは再びその旅行要求を申し送りすることを拒んだ。さらに、ペリーはこの問題について彼の頭越しに彼の上司に相談を持ちかけることを好まない旨をサラに伝えた。
現時点で、サラは何をすべきだろうか。専門家協会の会合に参加するためにサラが有給休暇をとることに対して、あなたはどう評価するか。ペリーの信念について考えると、サラが休暇をとろうとすることに対してペリーが妨害を行うことは倫理的だろうか。このシナリオに対するあなたの判断を変えるような、追加的な情報はあるだろうか。

−NSPE事例82-7番からの改作

(訳 須長一幸 日本学術振興会特別研究員PD(北海道大学))