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他会社の否定的な面を強調する宣伝の手紙

エンジニアのヴェスナは、様々な州や地方の公共事業当局に対して、彼女の地域の仕事に関する以下のような手紙を送った。

  あなたがた当局が、損害賠償(ミスや怠慢による損害賠償)保険を持たないエンジニアたちのサービスを利用しているということが目にとまりました。そうした仕事は規定違反というわけではありませんが、明らかに公共の利益に反します。誰もミスを犯すつもりはないでしょうが、しかしもしコストのかかるミスが生じた場合、保険に加入していないコンサルタントの、個人的ないし会社の資金からその損失を埋め合わせできる見込みは低いでしょう。
コンサルタントが損害賠償保険に入らない理由は二つしかありません。コンサルタントが保険費用を負担したくないか、以前に問題を起こしたために保険に加入できないか、のいずれかです。
最初のカテゴリーに含まれる人々についていえば、彼らの保険料は総収入の3〜5パーセントになります。こうした人々は超過利潤を得ているか、保険に入っているわれわれよりも低いレートで請求しているかのいずれかです。
適切な損害賠償保険に加入している、適格なコンサルティング会社がこの地域に数社あります。わたし一人の仕事は一般保険で$500,000、損害賠償保険で$500,000までカバーされます。私の仕事の多くはハイリスクとされておりますが、4年以上の実務を通じて、私は一つの失敗もありませんし、私に対してクレームが申し立てられたこともありません。

ヴェスナの手紙は自己宣伝や他社への中傷攻撃だろうか。そしてそうだとしたらそれはなぜだろうか。
この手紙によって競争が不正になるのはいかにしてか。この手紙には専門家協会の関心事となりうるような部分があるだろうか。

−NSPE事例76-7番の改作

(訳 須長一幸 日本学術振興会特別研究員PD(北海道大学))