杉谷研究室では、主に初期地球の生命と環境の進化(宇宙生物学/アストロバイオロジー)に関する研究と水環境に関する研究を行ってきました。これから力を入れて行きたいテーマについてご紹介しますので、情報文化学部の人は研究室選びで、また他大学の方は大学院選びの参考にして下さい。質問等は:sugiアットinfo.human.nagoya-u.ac.jpまで遠慮なく....。忍耐力とやる気のある人募集中です

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1)家にいながら野外見学ができるようなコンテンツ作成

今ひとつぱっとしない名前ですが、このテーマをやる人に良い名前を考えてもらいたいと思います。これは野外見学であちこち学生を連れて行ったり、自分自身の調査でにしオーストラリアやアフリカに行くことが多いフィールド系として、アウトリーチも兼ねたテーマとして何かできないか、と考えて浮かんだテーマです。要するに、インターネットで例えば我々が研究している櫛田川を紹介し、ビデオ映像を交えながら、見所等を紹介するようなイメージです。単なる櫛田川紹介ビデオで終わらせないポイントは、実際に測定した溶存成分の傾向やそれが意味するところ、水生昆虫を用いた水質評価等、サイエンスの面をしっかりと組み込んで行くことです。

WELCOME TO SUGITANI LAB

2)三重県松阪市櫛田川の全てを知りたい研究

このテーマはもうかれこれ5年程取り組んでますが、次から次へと新しい発見があります。上流から下流に向けて栄養塩濃度がどのように変化するのか、そして水生昆虫の種組成はどのようになっているかについて最初調べましたが、茶畑が多くなる当たりから硝酸濃度が上昇し、水生昆虫の多様性が減少することが分かりました。またダムの上流と下流で水質に変化があるだろうとの予測のもと調査を行うと、上流より下流の方が栄養塩に乏しく、逆に鉄やマンガンが多くなることが分かりました。これはダムで藻類が繁殖することによって栄養塩類が除去されているからかも知れません。またダムの湖底では酸素が少なく、泥の中から鉄やマンガンが溶け出すことが知られています。その影響も見ることができました。今後はこのダムの影響を詳しく調べたいと思っています。また炭素や窒素の同位体、珪藻の種組成、そして水生生物の再調査とより質の高いデータの収集を進めて、「櫛田川学」なるものを作りたいと思ってます。これに関連して新たに取り組みたいのが、櫛田川の派川で極めて生物多様性が高い祓川の研究です。祓川における生物多様性を支えているものがなにか、栄養とエネルギーの流れから解明したいと企んでいます。

西オーストラリア・ピルバラ地塊ゴールズワージー地域に分布する、珪化した蒸発岩層(最初のシーン)とその上位に見られる微化石を含む黒色チャート層。山頂に沿って数km追うことができる。見渡す限りの荒野。

3)太古代の地球と生命に関する研究

 このテーマはもうかれこれ20年以上程取り組んでおり、ライフワークの一つです。この研究の目玉は30億年前と34億年前の地層(オーストラリア・ピルバラ地塊)から私が発見した微化石です。太古代の微化石というと、数μmより小さく、球体やヒモ状のものがほとんどで、報告者の鼻息はともかく、その生物起源性がうたがわれるものも少なくありません。私の発見した微化石は形態的に多様で、一つの地層の中にフィルム状、小球状、大型の球状、レンズ状、フィラメント状のものが混在しています。その中で最も特徴的なものはレンズ状の化石です。これらは赤道面にそってつば状の突起を持ちます。大型で長径が80μmに達するものも珍しくありません。またコロニーを形成し、複数のレンズが連なったものも見つかっています。最近私たちは、チャートを塩酸−フッ化水素酸でゆっくり分解することによって、このレンズ状微化石を大量に取り出して、電子顕微鏡等でより詳細に調べようとしています。この微化石に絡んだ研究テーマとしては、1)レンズ状微化石の表面構造の起源(オリジナルか、あるいはartificialか?)、2)30億年前と34億年前のレンズ状微化石は同じ種か否か?、3)微化石を含むチャートはどこで、どのようにしてできたのか(陸域熱水系!?)等です。特に面白いのは、34億年前のスティルリープール層に見つかっているレンズ状微化石は産出地点間で、サイズや形がどうも違うようなのです。現在生きている生物もその環境によって近縁種が形態を変えることは全然珍しくありません。この違いを統計的に裏付ける仕事を今進めています。また30億年前と34億年前では、コロニーの産状が異なりますが、これもまた種の違いに関係するのかも知れません。この分野の研究には、まずチャートの化学組成という地球化学分野から入りましたが、この10年間は古生物的な研究を主としてきました。最近、再びチャートの化学組成を腰を据えてやり直してみたいとも考えています。

左:レンズ状微化石のコロニー,右:小型球状化石のコロニー

左:レンズ状微化石,右:酸分解で抽出したレンズ状化石

2014年10月4日に撮影した祓川の様子。コカナダモやセキショウモがびっしり。映像では見にくいが、タナゴやオイカワが群泳していた。