分子構造の生成器

ResNetなどの深い畳み込みニューラルネットで、画像分類が非常に上手にできるようになった頃、潜在変数から逆に画像を作り出す研究が盛んになった。敵対的生成ネット(GANs)が代表例であり、セレブ画像を学習して、現実にはいないセレブ画像を生成できたりする。プログラムとデータが公開されており、誰でも実験できる。

分子科学では長い間、望みの性質を持つ分子を設計したいと思ってきた。量子力学の発見以来「分子の構造が与えられた時、それがどんな性質か」予想する努力がされてきた。また現実的には量子力学がお手上げな複雑な系では、構造を変えると性質がどう変わるか実験で調べ、それを分析して設計をしてきた。大量のデータを機械学習できる時代になり「データを学習したモデルを逆転して、良い分子構造を出力する」可能性もでてきた。

そこで陸明浩さん(修士学生)とこのような方法を開発した。我々の方法では、分子構造を高次元特徴ベクトルで表現し、その高次元空間に適切な基底を取り、その部分空間のほぼ全ての格子点で、 分子構造の原像を持つようにした。 また特徴ベクトルを使い、教師データを良く学習できる事や、 特徴ベクトルから分子構造を再構成するアルゴリズムを提案した。